テーマの概要
中小企業にとってコスト削減に血の出るような努力をしながら、いつ、何のために、どのくらい使われたか分からない電気代は”使途不明金”であり、また大きな負担である。使途を明確にすることで、本当に価値ある電気エネルギーが使われているかどうか分別することが出来る。生産工場は、生産が上がれば消費エネルギーが上がるので、総量規制以前に、ムダの分別を行い、ムダをゼロにしていくことが必要と考えた。
これを実現するために、工場内の電気機器ごとに消費電力量を計測し、ムダなものとそうでないものとに分別するシステムを考案した。得られた情報を可視化して、全社員にフィードバックすることにより、日々の業務活動におけるムダな電力消費の削減に取り組んだ。本プロジェクトの効果として、最も大きなムダの原因になっていた製造機器の待機電力量が基準月比で年換算48.3%削減された。
工場の場合、生産量によって使用されるエネルギー量が変動してしまうため、総量規制が難しい。そこで、エネルギー使用をムダと有効に分別し、ムダなエネルギー使用量を削減することにした。ムダな部分を特定し、その部分のみを減らすことで、現場作業者のモチベーションを落とさずに省エネ活動が実行されると考えた。
消費電力をムダと有効に分別するために、個別機器ごとの電力計測を実施した。計測対象は、電気で稼働する機器の80%(100台)とした。製造用機器については、電力消費状況により稼働、待機、停止のいずれかの状態にあると判定し、そのうち待機電力量を分別してムダと定義した。その他の機器については、営業活動時間外の消費電力量をムダと判定した。
平成16年1月の計測の結果、ムダと認定した消費電力量は全体の59%にのぼった。うち、製造機器の待機電力量が38%と圧倒的に多いことが判明した。
平成16年1月を基準とした。ムダ電力量が全体の38%を占める製造機器の待機電力量を省エネルギー活動の対象とし、平成17年3月までに半減することを目標とした。
開発した電力計測装置を電力量換算で全体の約80%に相当する100台の電気機器に取り付け、さらに専用のソフトウェアで、機器ごとの電力量のムダ・有効分別を開始した。
計測は1分ごとに行い、オセロチャートという機器ごとの稼働状況管理チャートで毎日稼働実績と待機電力の消費状況を管理した。
これを機器ごとに1ヶ月単位で集計し、さらに機器グループ別の情報として実績管理を徹底した。
各作業者に対しては、平成16年1月を基準にし、待機電力量の削減が進んでいる部署とそうでない部署がわかるようにして給与明細の袋に入れて配布した。
削減された電力料金は「省エネ配当金」として各作業者に平等に配布した。
その結果、各社員の家族からも支持がもらえ、毎月の改善活動の励みとなった。
エアコンプレッサの消費電力量を詳細にチェックした結果、エアーを供給している機器の稼働状況と連動していないことが頻繁に見られ、かつ連動しているときでさえ必要以上の電力量が消費されていることが明らかになった。
配管の接続を見直すとともに老朽化が進んでいるものを新品に取り替えた。これにより、配管からのエアー漏れを撲滅するとともに、エアーを要求しない製造機器へのエアー供給を最小限にとどめるようにした。
機器の設計上、加工を終了後も自動的に電源スイッチをOFFできない状態にあった。加工終了後、電源遮断を行えるように改造を行った。
対策を講じた結果、対基準月比で、年換算48.3%の待機電力の削減となった。また、総電力消費量に占める待機電力量の比率は基準月の38.2%から年平均で18.7%まで改善された。
消費電力量を機器ごとに分別することにより、省エネ活動のポイントがはっきりした。
特に製造用機器の待機電力がこれほどまでに大きいということは驚きであった。
省エネ配当金制度により、社員およびその家族の意識が変化し、省エネ活動を持続することができた。
従来、工場のように夜間無人運転するような所では、消費電力量の分別は難しかったが、今回生み出した稼働判定方式(特許出願中)により分別が可能となった。
稼働改善方式によるオセロチャートを考案した結果、稼働状態の可視化に成功し、作業カイゼンのためのデータとして使いやすいものとなった。
作業カイゼンの成果を、売上高/労働時間でみると、36%の向上となり、省エネ以上の効果をもたらした。
消費電力量を機器ごとに有効/ムダに分別する方式は、省エネのみならず、現場の生産性向上にも役立つことがわかったので、この方式を全世界に普及させていきたいと考えている。
今後この方式を普及させるため、誰でも今回の仕組みを使えるようなシステムの開発・販売を行うための企業を別会社として立ち上げる予定である。
※ページ数が多いため、一部抜粋してあります。 |