門外漢からの参入、職人との微妙な関係
会社の経営危機をIT化によって脱し見事に経営革新を実現
専門家の予測を覆しソフト開発に着手。「結果」を出して抵抗勢力を味方に
昔ながらの職人技とコンピュータシステムをうまく融合させ、見事企業再生に成功した金型製作会社、㈱NKS。2代目社長として会社を牽引する中島高英氏は、当初、父親が興した会社(NKSの前身、中島工機製作所)を継ぐ意思がなく、商社マンとして自由気ままなサラリーマン生活を謳歌していた。しかし、会社が融資を受ける際に条件として後継者を置くことを銀行から提示され、悩んだ末の決断。
「金型の仕事は見て覚えるのが当たり前の世界です。門外漢の私が急に後継者になるといっても納得してくれるはずもありません。そこでまず、現場の見習いからスタートしました」
初めは職人の言葉の意味すらわからない。しかし、1~2年経った頃、金型技能のすばらしさを感じ始めたという。
「とはいっても、一朝一夕に技能が身に付くわけでもなく、ましてや職人技を極める時間もない。それなら他に貢献できる術がないか、自分なりに模索しはじめました」
その時にヒントを得たのがコンピュータ制御付工作機械の導入。
「職人さんにしかできない作業がある一方で、コンピュータを使ってシステム化できる部分もあるのではないか、そうすることで作業の効率化も図れるのではないかと考えました」
初めは専門会社に依頼したが成果が上がらず、結局、自ら学校に通いながらソフト開発を進める。
こうして2年間を費やし完成させたのが、オリジナルの生産管理システムだ。そうした結果を目の当たりにした職人さん全てが驚いたという。
「情報化は生産性向上に飛躍的な効果をもたらすと確信しました」
その後、本体に迷惑をかけるなという父親の一言もあり、自己資金を元手にソフト開発の会社を設立。’94年には父親の後を継いでNKSの社長へも就任する。
「もちろん社員の中には改革を歓迎しない反対派もいました。でも痛みはすべて自分が受ける。そうした姿勢を見せることで、今では当時の抵抗勢力が一番の理解者になってくれています」と笑った。
2代目社長の人材把握術
改革に当たっては、時代に沿ったやり方への変更を要求しながらも、古くから在籍する人を大事にしてきた。同時に、ほとんどの人が変革しなければならないことを感じてはいたが、何をしたらいいのか分からない状態だったため、1人ひとりと対話を通じて具体的なテーマを提示してきた。
その結果、自主性を持つようになり、今は必要に応じて自ら残業するなど責任感が強くなったという。今後迎え入れたい人材は、得意技を身に付けたいなど夢を持ち、人生を充実させるために働きたいという考えのある人。また、中小企業で働く魅力については、「仕事の全体像が見えることで、本質を把握することができ、様々なことに着手できる力が付くこと」と話す。
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