先日の尼崎列車事故は、尼崎駅の近くに取引先もあり何度かあの線を利用したこともあったので、ショックであった。
原因はまだ解明されていないが、一般的には運転手個人の責任に帰趨されていくのが、今までの事故の常である。このような場合、金型工場を運営管理している私の経験からすると、個人の責任が大きいが、組織の責任も重要と感じている。
私の工場でも以前、納期ばかりあおって、不良品が多発したことがあった。担当者は急ぐあまり、悪いことがわかっていても、決められたルールに背いて作業をしてしまうことがある。
我々の日常でも車を運転している時、信号を無視したり、スピードを出しすぎてしまう。
私はこのような場合に、個人の責任を追求せず、原因究明を優先させている。事故の後、個人の責任を追及しないということを、本当に従業員に信じてもらうのには時間がかかった。
しかし、信用されてからは、事故やトラブルがどんどん解決し、最近では約10分の1の件数になった。当事者は本来その原因を知っているが、自分の立場が悪くなるから言いたがらない。そうすると偽りの原因と対策が出されて、再発が必ず起きるという悪循環に陥る。
建前をとるより再発を防ぐことを優先することで、職場のカイゼンが進み、より効果がでる。人は間違いを犯すものであり、それを完全にゼロにすることは難しいが、その発生率をゼロに近づけることが大事である。
私がもうひとつ大事にしていることは、作業する人の精神状態をできるだけ安定させることである。例えば、始業ベルを音楽に換えたり、月曜日の朝礼での私の話を止めたりしている。
また特急品という呼び方も考え方も廃止して、きちんとスケジュールをたて、情報を周知させ、いつまでに誰がやるかを明示するようにしている。
更には、業績の悪い時にも、危機感をあおるようなことをしないで、手が空いたら帰ってもよい形にしている。
トップや上司のいらだちは、部下の焦りや不安につながる。特に上司の危機感は、組織にマイナス効果を生む。部下たちがいつでも平安な精神状態で居られる状況を作り出し、具体的な指示を明確に出すことが、よい結果をもたらすと信じている。
JR西日本の幹部は、この点を忘れているような気がする。
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