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NAKAJIMA COLUMN
 
社長の一口コラム


天命と青春


2004年02月01日
 

 50歳から半年過ぎた頃に自分の天命を感じて、それが本物かどうか確かめていました。そのため、このコラムもしばらくお休みさせてもらっていました。
  自分の天命とは、「金型現場を掘り下げて、掘り下げていき、技能を技術にすること」かなと思い、行動していました。技能を技術にする手法を見出していくために20年間がんばってきたことを、確信をもって更に進めていこうと決意して、どっぷりはまりこんでいました。
  一般的には、標準化こそが大事だとされています。標準化とは、各個々に違うものの中に共通性を見つけ出して、一定のパターンに収めようとすることです。工業化社会はこの標準化で、成功して成長してきました。
  しかし、私は、この考え方とは逆で、各個々の違いをひとつずつ深く堀り下げていこうとするものです。そのために、実験テーマとして60件を同時に進めています。60のテーマは軽いものから重いものまで、また、関連するものしないものがありますが、すべて私の日常の仕事から発生しているものです。
  すべてのテーマは、現場で実証実験できるものだけです。
  私の仮説は、現実の現場の中で試され、拒否され、やり直しを行うという繰り返しの地味な世界です。そのうち数件は成功して、技能から技術にでき、今まで職人暦10年の職人にしかできなかった工程を若い人でもできるようにしたり、加工時間を半分にできたものも出てきました。
  しかし、これだけだとカイゼンの一部にすぎません。私は、その個々の具体的な手法を抽象化して一般化しようと試みています。技能は人間の中に宿っているので、動作手順をいくら客観的に分析したり、本人にヒアリングしても理解できないのです。
  目に見えないものを捕らえて、実体に迫るにはどうしたらいいのか考え抜いて、結局、2つの面から同時に解き明かすことにしました。
  1つは、心の目、知覚心情、価値観と、もうひとつは科学の目、計測データの分析です。この両方と現場の現実に起きている事象との間を猛烈な速度でいったりきたりすることをしています。
  仮説が本物ならば現場で使用できるし、もっと根源的なものならば、金型現場以外にも使用できるでしょう。
  地味な現場の中には宝物がたくさんあり、さらに掘り下げていくと黄金が埋まっているようです。
  50歳を越えて、天命を感じながら人生の終局に向かうつもりが、青春時代にもどったような精神の高揚のなかに身をおけて幸せです。感性も一緒に若い頃に戻ったようで、ニューヨークからボストンに向かう列車の中から見えた紅葉は、涙がでるくらい美しく感じられました。
  人生は一度ですが、青春は何回あってもいいものです。

中島 高英
 

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