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NAKAJIMA COLUMN
 
社長の一口コラム


卒業の季節 - 不思議な二人


2004年03月11日
 

 3月に沈丁花の香りを嗅ぐと、卒業式を思い出す。この時期にはなつかしい人たちからの誘いが増えるから、3月の花の香りが古い友の顔を思い出させてくれるのは、私だけではなさそうだ。いつしか年賀状だけの交友になってしまった友や、音信不通になって風の便りもなくなってしまった友に会いたい気持ちにさせてくれる季節である。
  そういう中で、例外の友人がいる。中学時代からいつも一緒に交遊してきた友、石井君である。中学・高校が一緒で、通学時も同じ電車で一緒に時を過ごしてきた。今も彼とはシムックスで顔を会わせている。宇宙研や大学の講師のかたわら、シムックスに来てくれているのだ。
  彼と私は、正反対のタイプで、どこが二人をお互いに引き寄せるのかは当人たちにも分からない。学生の頃から、彼は数学研究会で数学の方程式が大好きであった。私は宗教研究会で哲学の本ばかり読んでいた。
  その後、彼は優等生で東大の農学部機械科に行き、私は日大の法学部にやっと滑り込んだ。理系は研究課題をかかえ、授業も忙しい。私のほうはと言えば、教室よりも雀荘にいた時間のほうが長かった。大学卒業後も別々の道を歩んでいたが、それでも、交流が途絶えることはなかった。
  そんな二人が仕事を一緒にするようになったのは、17年前のことである。私が工作機械とPCとの通信で悩んで、彼に相談したのがきっかけであった。
  彼いわく「通信プロトコルとそれが動作するコンピュータボードを作れば解決するよ」といとも簡単に言ってくれた。私のほうは、生まれて初めて聞く言葉に目を白黒させていた。そんな私に更に「ロケットだってそれによって制御されているのだから、工場の機械くらい出来るでしょう」と。当時、H2ロケットの開発に携わっていた彼の言葉には重みがあった。
  ボードの開発は秋葉原の買出しから始まった。私は一夜にしてできるものかと思い込んでいたが、そうではないらしい。「ロケットのほうがいうことを聞いてくれる。工作機械は聞いてくれない」ということで、それからNCリンクスとして世に出るまでには2年以上かかった。
  無事に開発が終わると、彼はまた自分の世界に戻っていってしまっ た。
  一昨年、また一緒に仕事をする機会が巡ってきた。彼が秋葉原から大きな袋を抱えてシムックスに帰ってきた。それを見た私は、きっとこれから2、3年かかるなあと思い、背筋がぞっとした。案の定、世に出せるまでに3年かかった。それがESPドラゴンである。
  17年前のNCリンクスの時と違うのは、工作機械に限らずモーターを使っている機械すべてを対象にしていることと、日米同時販売で土俵が大きく広がったことである。二人の関係は昔のままだが、取り巻く世界が広くなったのは年の功かもしれない。
  君子の交わりは水の如くというか、何かのご縁というか不思議な二人である。


中島 高英
 

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