ミートホープから始まり食品偽装が次々と明るみに出てきている。
テレビ画面に映し出される社長の顔を見ていると悪人には見えない。昔堅気の真面目で善良な人のような気がする。
そんな彼等を誤った道に向かわせたものは、なんだろうか。
父のことを思い出した。父は金型職人で60年間も現場に立ち続けた人である。私が高校生の頃、金型作りも何も知らない頃の話である。
「高英、いい金型を作るには手間がかかるのだ。その手間を惜しんではいい金型は作れない。それが、ネクタイしている奴には分からないのだ」。
父は体の底から絞り出すような声でそっとつぶやいた。
私は薄々その背景を理解していた。
きっと元請けの大手企業の誰かが、品質も関係もなくただ値引きの話をしたのだろう。よっぽど悔しかったに違いない。
それで話が終わってしまったので、その後どうなったかは知らない。父はそれまでと変わらず愚直なまでに丁寧な金型作りをやり続けていった。
本当にいいもの、自分の納得するものを作り続けた。
ミートホープの彼は悔しさからわからない奴等に対して偽装という報復をしてしまったのかも知れない。
正しい志、正しい善の心を持たないと、とんでもない所へ行ってしまうことを示している。
30年経ってやっと父の言っていた「手と間」について理解できた。
先日社員教育の時、父に言われたのと同じことを自分が言っている事に驚いた。
パソコンのソフトのワードやエクセルをマスターすることの意義を話した。
手間とは手と間である。手とは手順のことで、間とは時間のことである。
もし手順を飛ばせば、いい成果は得られない。それを手抜きと言う。
スピードの時代とは時間の効率をあげて短くすることで手順をすっ飛ばすことではない。
時間の効率を上げるにはワードやエクセルを徹底的にマスターすることだ。インターネットも同じことである。
しかしそれは間が短くなるだけで考えることを省くことではない。
手抜きせず効率を上げるためにITという道具がある。
道具も正しい志を持って使うことが一番肝心なことである。
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